川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                妖精たち



   ホテイアオイを見てきた。
   橿原市の本薬師寺周辺の休耕水田に、40000株が花を咲かせている。
   畝傍山を望むのびやかなロケーションである。
   本薬師寺は持統天皇の病気平癒のために天武天皇が建立したお寺で、藤原京の薬師寺と
   呼ばれていた。
   晩夏から初秋は、持統天皇も心が浮き立って華やいだ気分になっていることだろう。

   水田のなかでは、
   薄紫の妖精たちがちょこんと座って、ゆらゆら揺れたりふわふわ笑ったり内緒話をしたり……。
   別名をウォーターヒヤシンスというらしい。
   朝、太陽を浴びて開花し、夜になると萎んでしまい、翌朝にはまた新しい蕾が開花するらしい。
   毎日、まっさらな花なのだ。毎日毎日が汚れなき聖女なんだな。
   ホテイアオイというのは、お腹のぷっくり膨らんだ布袋さんから来ているそうだが、だんぜん
   ウォーターヒヤシンスの方が素敵!
   そんな妖精たちを、時おりトンボが訪れる。

   花言葉は、「揺れる心」「恋の悲しみ」。
   うーん、どうもピンとこないな、しっくりしないな。
   「汚れなき心」なんてどうかな?