川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                        乗り鉄は食べ鉄


     今回の旅のテーマは、ただただ乗り続けること。
     ただただ食べ続け、かつ飲み続ける事である。
     奇病が癒えた私は嬉しさに、調子にのって食べ続けた。

     鉄道の旅は駅弁の旅でもある。
     5回の昼食としての駅弁と、帰りの夕食も駅弁を食べた。そして1度はアクシデントで寝台車に
     乗れなかったせいで、朝食も、その類だった。

     列車のシートに座ったまま、時間が来れば駅弁を食べる。
     車内販売が来れば、退屈しのぎにビールを買い、ちぎり竹輪だのビーフジャーキーなどを食べる。
     車内販売はなんども往復をする。
     そのたび、呼び止め手を伸ばす。
 
     太ったブロイラーにするために、餌をどんどん食べさせられる鶏の気分になってくる。
     そう思いつつも、手は缶ビールを握っている。
     太るだろうな……。だが食べるしかないのも事実である。

     次の車内販売が来たらコーヒーを飲もう。

     旅行から帰ると体が重かった。
     体重計に乗るのが恐ろしくて何日もそのままにしていたが、意を決して計ってみた。
     なんと、5日間で二キロの増である。だが夫に体重の増減は見られない。
     列車のデッキで、運動でもしていたのだろうか?
      
     乗り鉄には自己管理が出来る、強い精神力も必要なようである。
     駅弁はどれも美味しかったが、当分、お弁当のたぐいは見たくない心境である。
     それにお造りや会席料理も……。 

     菜っ葉と油揚げの炊いたんが食べたいなあ。