川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                     紀伊半島を列車で一周


   以前にも書いたと思うが、もどきの乗り鉄である。
   今回は3日をかけて、紀伊半島を一周してきた。
   
   こんなルートだ。
   まず、天王寺からJR西日本「スーパーくろしお」で新宮駅へ。
   和歌山市駅から亀山駅の区間は、紀勢本線と呼ばれている。
   「スーパーくろしお」は、紀伊半島を南下してゆく。窓の外は太平洋。
   海岸線に近づいたり遠ざかったりと、窓から目が離せない。
   
   冷水浦(しみずうら)・朝来(あっそ)・椿・周参見(すさみ)・紀伊姫(きいひめ)……
   私は美しい駅前や、珍しい駅名が大好きである。
   窓からの景色のあれやこれやに、飽きることはない。
   幼児のように窓に向かって座りたいくらいだ。

   串本駅は本州最南端の駅で、陽光はまさに南国のものだ。
   紀伊半島の真ん中あたりの串本駅から、列車は紀伊半島の右半分を走る。
   そして新宮駅で、JR西日本はJR東海に変わる。

   新宮駅からワイドビューに乗り換え亀山へ向かう。
   熊野川を渡ると三重県だ。
   
   新宮駅からもしばらくは海が楽しめたが、やがて紀伊長島駅の辺りから海沿いを離れ、
   のどかな山里の風景が広がる。無人駅もある。
   多気駅からはお伊勢参りの参宮線が出ていて、ふっと、このまま伊勢に行ってもいいかなと、
   思う。
   久しぶりに赤福が食べたいなあ……。
   そんなことを想っている間に亀山駅に到着。
   
   亀山駅からは関西本線で名古屋へ向かう。
   四日市・桑名・長島と、知った駅名が増えてくる。知り合いに会った気分がするから不思議だ。
   名古屋からはなじみのルート、新幹線で新大阪へ。
   
   ああ、乗った、乗った。とうぶん列車はいいかな。