川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                   猪寺と猪神社



     息子からの誕生日プレゼントは、私の行きたいところに連れて行って貰うことに
     決まっている。10年以上続いている、私にとってのビッグイベントだ。

     私は雨女だ。不思議なことに、息子と一緒のこの日は、毎年雨が降る。
     今日は快晴だからと思っていても、パラパラとお約束の雨が落ちてくる。
     前世、私は雨ごいの巫女だったのかしら……。
     それとも「アメフラシ」だったのかな。

     というわけで今年も雨の京都である。
     
     亥年生まれの私には、どうしてもお参りしたい寺と神社があった。
     寺は、建仁寺の塔頭の禅居庵である。
     狛犬ならぬ阿吽の狛猪が本堂を守っている。手水舎も猪の口から水が流れ、
     梁にも灯篭にも猪・猪である。おみくじも焼き物の猪に入っている。
     本尊の摩利支天が猪を従えているのだ。摩利支天は開運勝利の神である。

     護王神社は、猪の神社として知られている。足腰や病気の回復にご利益があるそうだ。
     拝殿の前には、雌雄一対の霊猪像が建てられている。
     和気清麻呂が宇佐へ向かう途中、災難に遭った際、300頭もの猪が現れて、
     清麻呂公を護ったことに由来するそうだ。
     境内のいたるところに様々な猪が祀られている中で、手水舎の猪は「幸運の霊猪」と
     呼ばれ、鼻をなでると幸せになると言われている。
     もちろん、私は何度も鼻をなでたことは言うまでもない。
     
     猪神社の前は御所である。何年ぶりだろう、ずいぶん久しぶりだ。
     少しだけ散策するつもりが、なんたる幸運、一般公開されていた。
     早くもご利益があったのか?
     紫宸殿・清涼殿・学問所・蹴鞠の庭……。
     雨に濡れた枝垂桜がなんとも美しく、雅なひと時だった。

     今年はもう他の桜は見ないつもり。御所の桜を大事にしたいから。
     素敵な1日を、有り難うね。


     これで、開運勝利と病気回復は約束された。
     今年の私は猪のごとく、わき目もふらずまっしぐらに突き進もう!
     で、
     どこに向かってすすむの?何に向かってすすむの?

     


     
                   2019.3.30